直島の魅力

 

僕が日本で一番訪れている場所...  地元・秋田と東京を除けば、おそらく瀬戸内だろう。

 

特に現代アートの島「直島」は僕にとって特別な場所で、瀬戸内に通うきっかけと..島旅にハマるきっかけを与えてくれた。

 

直島を初めて訪れたのは2012年8月。

地中美術館・ベネッセハウスなど安藤忠雄さんの建築作品や、島に点在するアート作品を見たい!...という単純な想いから、直島との付き合いが始まる。

 

さて念願の初上陸! 最初に行く場所は既に決めていたので、港近くで自転車をレンタルし... 胸を弾ませながらまんべん過ぎる笑顔で目的地に向かった。ちなみにお目当は草間彌生さんのアート作品「南瓜」。直島のシンボル的存在でもある黄色いかぼちゃだ。

自転車をこぎながら、遠くに南瓜が見えた時の興奮は今でも鮮明に覚えている。鼻血が出そうなくらい熱いものが込み上げてきて「落ち着け... 落ち着け...」と自分に言い聞かせながら深呼吸を繰り返していた。

 

そして南瓜がある浜辺に到着。平日にも関わらずの大人気で、南瓜前には写真撮影待ちの大行列ができていた。その光景を見て、急に現実に引き戻される。ついさっきまでの興奮が嘘のように冷めていた。

呆然と立ち尽くしている時、ふと近くにいたオレンジ色のTシャツを着た少年と目が合った。僕が「こんにちは!」と挨拶すると、少年も「こんにちは!」と返してくれた。オレンジ少年の近くには、黄色い帽子を被ったイエロー少年もいた。

2人とも島民で保育園児。オレンジ少年がひまわり組で、イエロー少年がたんぽぽ組とのこと。うーん、ちょっとややこしい(笑)

 


 

カメラのレンズを向けると2人は嬉しそうにポーズをとる。イエロー少年は将来ウルトラマンになりたいらしく、ビームポーズを連発していた。ふとオレンジ少年に「なんか写真見せて!」と言われたので、iPadを取り出し地元・秋田や都内で撮った写真を見せた。しばらく写真鑑賞は続き、その後は木の棒でチャンバラごっこをしたり... 浜辺で鬼ごっこしたり...  アリの行進をじーと眺めたり... 南瓜周辺を散歩しながら色々と遊んだ。

気付けば少年たちと出会ってから3時間半が経過し、南瓜の人集りはなくなっていた。せっかくなので三脚を立て、僕も含めた3人で記念撮影した。

 


 

直島を訪れる人の大体は一日中、美術館やアート作品を見て回る。できるだけ多くの作品を回ろうと細かくスケジュールを立て、若干慌ただしく行動する人もいる。もちろんそれも直島の素晴らしい楽しみ方で、実は僕も当初その予定だった。でのこの日は偶然、島の少年と出会い、島の日常を楽しんだ。

ちょっとした焦りの感覚から解放され、ゆったりと流れる時間。砂浜に打ち寄せる波音がなんとも心地よく、田舎で過ごした幼少期の記憶がよみがえる。いつの間にか忘れてしまった大切な何か...。

あぁ...直島っていいなと、しみじみと感じた。

 

別れ際、オレンジ少年が「今日は楽しかった? 次いつ来るの?」と訪ねてきた。僕は「うーん、また近いうち!その時、撮った写真プレゼントするよ!」と答えた。

 

オレンジ少年!イエロー少年! 直島の魅力を教えてくれてありがとう...

 

この日をきっかけに僕の瀬戸内通いと、島旅への関心が高まった。